創業・ベンチャー国民フォーラム 2009


イブニングフォーラム

Q&Aセッション

1.しゃべり方のうまさは、ご自身のパーソナリィーなのか、努力して身に付けられたのか、教えてください。
 
 ある先生の本で、「これからはイメージがお金になる時代、人に好かれる人が儲かる」と書かれていました。目に見えないものにお金が集まると思うので、社長になる人は「自分の会社が成長するんだよ」というイメージを伝えられるといいと思います。また、人に嫌われるよりは好かれる方がいいと思いますし、他にも“いいたいことが分かりやすい”とか、“楽しそう”だとか、こういったイメージを自分で意識することも大事だと思います。

 
 笑い上戸という元々の性格があるのと、社長になってから、人の目をちゃんと見てお話ができるように努力したということもあります。私の会社でも、社員から「イメージが大事だから」とよく言われます。“いつもクリーンで明るい”というイメージと、ひとりよがりでつくった靴ではなくて、みんなの意見を集めてつくった靴ですので、社長だからと飛びぬけるのではなく、“みんなの輪の中のどこにでもいられる”というようなイメージを大切にしています。

 
 社長さんになって取り組むべき事業は、1人でできるものではありません。みんなの力を借りようと思ったら、みんなが「この人と一緒に走ってみたい、この人とだったら楽しいから、何かやってみたい」と思ってもらえる人でないといけないのかもしれませんね。これは裏返すと、人が好きで、人に対して「ありがとう」と素直に本心からいえるような人なのではないでしょうか。

2.自分に責任をもつ秘訣はあるのでしょうか?ビジネスオーナーになるまでに大変だったお話、ロールモデルについてのお話をお聞かせ願います。
 
 勤めているときには、本当の意味で“責任”というものが分かりませんでした。分かるためには、「責任ある立場にたつ」、これしかないかなと思います。どんなにイメージしても、やってみないと分からないと思います。壮大にやる必要はなくて、たとえばネットオークションでもいいと思うんです。実際にやってみれば「こういうものだ」と分かって、そこからだんだん広げていけると思います。
 まずは自分1人では何もできないことを認めること、自分の得意なことをやること、みんなが楽しく働ける環境をつくること、会社に必要な分野を得意とする人を集めていくことが、大事かなと思っています。
 最近になって、自分で自分の行動の責任を持つということに対して、覚悟ができましたが、私の人生の目的は、「人生を楽しんで味わいつくすこと」なんです。だから、妙に飾ったりせず、なるべく自然体でいるようにしています。それと「自分の心が曲がっていないか」とか、「言い方が稚拙でも、言ってることが間違っていないか」ということはすごく確認するようにしています。稲盛和男さんや松下幸之助さんなど、日本で「この人は」という経営者の本を読んで、そこから自分が外れないようにすることも心がけています。
 また、「“分かりやすさ”とか“楽しさ”を、どうやって世の中で表現するか」考えています。自分が楽しんでいれば、きっとそれが伝わって、「みんながこうなりたい」と思えるようになると考えているので、とにかく人生を楽しむことを優先順位の一番においています。

3.インターネット関連のビジネスモデルの構築を考えているが、自己資金がないなかでどのようなフローを描けばいいか、アドバイスをいただければと思います。
 
「あおぞらネット」というサービスをやっている立場からお話すると、ビジネスをはじめる2年くらい前からスタートしていないといけないと思います。私の場合、講演会でお話するなど、いろいろな前宣伝を行ってきたのですが、1年くらいは時間がかかってしまいましたし、売上が出てくるまで、かなり時間が必要でした。
 前宣伝をたくさんやることと、扱う商品にどういうオリジナリティを出すかということが大事だと思うんですね。このことを通じて、会社様から支援をいただけるいうこともあると思います。

 
 自分に稼ぐ力がないと、起業しても難しいと思います。「社員分の売上をあげられる覚悟があるか」ということが必要で、そのためにはとにかく営業力です。営業力が無い人が起業すると失敗しやすいかなと思います。
例えば、ネットでモノを売るというのは、誰でもすぐにできますけれども、自分のサイトを作る前に、例えばブログを書いて1日1,000くらいのアクセスをどうやってつくるのかなど、数値化して自分の力を測定したりして、起業する前からお金を稼ぐ力を身につけたらいいと思います。

 
 実際に今の仕事のなかでも、自分のやりたいことを上司にどのくらい受け入れてもらえるかなど、社内でも営業のチャンスはあると思います。自分のパートナーに行きたいレストランに連れて行ってもらうというのも、営業の第一歩だと思います。人に自分の思いを伝えて理解してもらう練習は、稼ぐことにつながるのかもしれませんね。

4.創業されたばかりのとき、営業先を見つけるのにご苦労があったと思うのですが、どのように克服されたかお聞かせください。
 
 私はニーズのあるものをやったということもありましたが、まず知り合いに売ることに対して恐怖感を持たないことが大事だと思います。意外に、みんな嫌がるんですよね。でも、知り合いに売りたくない商品を扱ってちゃダメじゃないですか。周りの人にいえるくらいまで、商品のいいところや好きなところをいくらでも言えるくらいにまで、その商品を愛することが大事です。
 会社をはじめたときは、会社のことは自分と家族しか知らないので、世の中の人に知ってもらわなくてはならない。サイトをつくってから入金があるまでに期間がすごく長くて…。私は資金が限られていたので、その間の売上をつくらないといけなかったんですよ。そのときに私がやったのは、自分の知っている人のなかで、買ってくれそうな人に売るということでした。また、「先入れ、後出し」を合言葉に、報酬の先払いのお願いもして、キャッシュフローをまわしていました。他にも、ベンチャーを応援したいと思っている経営者などに営業して、必死に売上を上げました。

 
 私は、本当にお店1軒1軒自分の足でまわりました。それが話題になったという感じです。カパっとひらく靴がめずらしかったので、「いいね〜」と飛びついてくるかと思ったのですが、「安全性は?」「痛くないの?」「ファスナー壊れないの?」など、マイナスイメージの反応ばかりだったんです。普通、そこで「恥ずかしい」と思うのかもしれませんが、商品にすごく愛着があったので、「なんで笑うの??」という気持ちの方が大きかったんですよ。それでまた、他のお店をまわると、また同じ反応なんですけど、あきらめずに何軒も回りました。そのうち「こんな靴をもってきた女の子がいるんだよ〜」と話題になっていった面もあると思うのですが、半年、1年とたったときに、置いてきた名刺の連絡先に連絡をいただくことがあるようになりました。私は、本当に昭和の営業のように、足で稼いだかもしれないですね。

 
 きっとこれが起業のいいところなんですよ。会社員をやっていて、「これを売ってこい」っていわれたらなかなかできない。「あんまりこれいいと思わない、よその会社の方がいいんだけど、でも売らなくちゃいけない」と苦しむことが多いんですね。その点、お2人のように「自分たちの売っているものは世界一すばらしい」と自信を持って語れる、これが起業のすばらしいところであり、それがあるから、成功されるのだと思います。

5.営業力について、ブログやメルマガを試しているのですが、一軒一軒まわる営業の方がどうも効果があるようです。こういったアナログの営業を強化しようと考えていますが、この点についてご意見いただけますでしょうか。
 
 ご自身が社長で、自分で売り歩くというのであれば、それが楽だと思うんですよ。でも、例えば社員が100人になったときに、みんな社長と同じ情熱をもって商品を説明できるかといったら、そうではない。ここが組織化できないジレンマになってしまうと思うんですね。そのときに、いかに本やwebだとかで、同じ温度で世の中に伝えられるかということが大事ですね。
 それから、社長と社員の売る成功率は、社員の方が低いと思うんですね。なので、この差を埋めるだけの数の見込み顧客と接するための仕組み、社員が商品説明をすれば売れるくらいの仕組みをつくらないといけないですよね。あとは、よそとはちがう商品力が大事ですね。  だから、自分が営業している限りでは手売りがいいんだけれども、それが永遠の仕組みになるかというと、そうではなくて、いずれ転換期が来ると思います。

 
 うちの会社はまさに転換期です。社員を雇うようになってから、いつもなら注文をくださるところからいただけなかったりして、「なぜ?」と思うときがあるんですね。でも、社長が直接出向いてはいけないので、ブログだったりインターネットサイトで幅を広げたりしています。  「社員がクロージングできるようにしていかなければ、会社がダメになってしまう」という考えは、いつも頭にあると思います。でも、今の転換期の私の考えでは、「社員にフォローにまわってもらって、そこで数字がとれなくても、最後に私がクロージングすればいい」と思っています。それを社員が気づかなければいい。社員が動く“しかけづくり”というか“舞台づくり”をやっていく。加えて、私がいけない営業先には、ブログやお手紙などで会社の動きや新商品などの情報をお伝えするようにしています。

 
 「ネットとリアルのどっちかでいい」ということはきっとなくて、うまく両方を使っていく。ネットがあるからこそリアルの価値がどんどん高まっていっていますから、それぞれをどのタイミングで使うのかをよく考える必要はあると思いますね。

6.スタッフの雇い入れの際に、どういうポイントがありますか?まわりの男性の会社関係者とのお付き合いで、心がけていたことはありますか?
 
 創業当時は、情熱しかないから、アルバイトから雇ってマネジメントを訓練していくことにしました。そのときは、経験がなくて、「なんでもやります」という素直な人を採ろうと思っていました。自分からは怖くて一緒にやろうとはいえないので、いかに相手から「この会社でやりたい、この会社に入りたい」といわれるように、サイトをよくしたりして魅力的な会社に映るようにしてきました。
 今年は10人採用しましたが、全員自分でつれてきた人たちです。最近、ようやく自分から「入ってほしい」と営業できるようになったんですね。そのときの人選は、理念に共感してくれて、フレキシブルで素直で、私がいったことを素直に聞いて信じてついてくれる人です。経験者よりも、まっさらで成長欲求が強い人を選んでいます。自分でも人材採用も営業だと思って、一生懸命やっています。
 私が心がけているのは、経営者としての信念や勉強を怠らないという点で、誰にも負けないくらいがんばろうと決めています。私が対外的に出てくのは、大きな案件だとか、大事なポイントであることが多いのですが、そのときに、経済環境をよく知ったうえで、自分がなぜ会社を起こし、何をめざしているのか、どういう志があるのかをしっかり語れれば、みなさんは私のことを経営者としてみて付き合ってくれます。女性というのは、それだけでイメージがいいので、女性で社長というのは得だなと思っています。

 
 新入社員という点では、経営理念に共感してくれる人、耐力のある人、経験・未経験は問いません。ただ、営業に関しては、“できるだけ経験者”というのが私の希望です。やはり、営業あってこその会社なので。
 関係会社の男性についてですが、“覚悟というものが腹にいきなりすわるとき”があるんですよね。責任をすべて自分で負ったときに、社長としての自覚が芽生えたんだと思うんですね。そのときから、まわりの関係会社の方々も、経営者同士としてお話してくださるようになりました。
私の方が必ず年下で、しかも女性なので、相手の男性とはどうしたって違う感覚なんです。なので、経営者の男性と会うときには、彼にとってプラスになる情報をいつも持っていくようにしています。それが、私と付き合うメリットとなり、経営者としてのお付き合いができていきます。女性として当たり前のことを言ってるだけなのに、すぐ新規事業としてとり入れてくださるんですよ。本当に、女性でよかったなと思っています。

 
 だいたい女性の経営者は、「みんな女性だから得だ」っていうんですよね。こういうところが経営者の大切なところで、自分の置かれている境遇をすべてポジティブにどうとらえていくか。「持っているものはすべてありがたい、すばらしい」と思うことが大切なのかもしれませんね。

7.日中両国の懸け橋のような役割に、ビジネスチャンスがあると思うのですが、いかがでしょうか。また、中国での商売も考えていますか?
 
 少子高齢化が進んでいることと人口が多いことから、中国もマーケットとして想定していますが、価格の問題がありますので、それをクリアする必要があります。また、すべて手作りなので、技術的に中国の工場でつくるのが難しいので、それがクリアされれば、中国で生産して販売することも可能になるかと思います。
 中国との懸け橋ということでは、文化が違うから家族構成も違うかもしれないけれど、子が親を思う気持ちだったり、親が子を思う気持ちは、万国共通だと思っているんですね。なので、ここの部分で、靴を売るだけでなくイベントなどをやらせていただこうかなと思っています。

 
 何を扱うかによってビジネスの大事なポイントはちがってくると思うんですよ。例えば、日本にある商品を輸入するというのであれば、中国でどんなものが求められているかを把握し見つけてきて、独占的に販売できるルートをつくることが成功の秘訣ですよね。文化や人材の交流ということになると、モノを売るよりは乗り越えなくてはならない壁が高くなるから難易度も高くなると思いますが、やる人が少ないから成功する確率も高いといえます。  「自信がなくても成功させる」と自分で思えれば、営業力はあとからついてくるかもしれない。でも、「自信が無くちゃ前に進むめない」のであれば、営業の現場で自信がもてるまでやらないと次に進めないと思います。このあたりは、自分がどういうタイプの人間なのかによって、またビジネス環境によって変わってくると思うんですね。  ビジネスを成功させるパターンというのは何百通りもあって、そのなかから自分が最適だと思う、かつ環境的に最適だと思うものを選び取る、そのためには、自分の置かれている状況を正確に把握して客観的にみることのできる力が必要だと思います。何をやりたいのかをどんどん具体化して明確にしていって、「そのために最低限必要なものはなにか」、「優先順位はどうなのか」、頭をとにかく使って考えることが必要だと思います。

8.女性を精神的に支えていく事業をやりたいのですが、ボランティアとしてやるだけの経済力がないので、ビジネスになればいいと思っています。アドバイスがあればいただけますでしょうか。
 
 セミナーだとかは、それほど原価がかかるわけでもないので、すぐにできるかなと思うので、あとはやるだけかなと。  それから、「社会貢献だからお金をとってはいけない」という考えは払拭してもいいのかなと思います。逆に、私は、無料はあまりよくないと思っているんですよ。自分が何かをやるなら代償があるのは当然だし、何をやるにしても原価がかかっているものなので。ノウハウを教えたり、精神的な自立を支えるといったサービスを行うときも、無料のほうが美しいかもしれないけれど、お金を払うということで、参加者の真剣度合いが違ってくると思うんですね。  無料だから喜ばれるということでもないと思うので、お金をとることに対して全然怖がることはないです。私は正々堂々と価値にみあった金額を設定すればいいのだと思います。「儲けをあまり考えず喜んでもらうために」という“第2次ステージ”みたいなものは自然に来ると思うので、そのときまで、無理をしてタダでやることはないと思います。  目標を大きくして、「株式公開するぞ」というようにスケールやイメージを1つ大きくすると、得るものも、やるべきことも、考え方も目線も大きくなっていくものです。これは忘れないでほしいです。「食べていければいいや」という起業は、絶対やめた方がよくて、「いっぱい稼ぐぞ」という気持ちがないと、まわりの人も幸せにできないと思います。

 
 社会貢献というのは難しいと思うんですね。私もお金はとった方がいいと思います。でも、一律にいろんな人からお金をとるのか、それとも「こういう人たちに還元したい」というところは割安にするのか、ということがある思います。売上をうまく配分することで、会社も潤滑にまわしていくことも可能ではないでしょうか。
 いろいろなビジネスモデルが考えられますが、私の体験談をお話しすると、ある方からパーティーに誘っていただいたのですが、「女の子だけのクリスマスパーティー(女性起業家のみ)」というようなもので、私にとってはすごくありがたいものでした。主催者が、これまでお世話になった方たちへの恩返しとして考えられたプランだったと思います。

 
 起業をするというと、お金をいただくということになるので、どうしてもひいてしまう方もいらっしゃるかもしれません。でも、松下幸之助さんも言っています。「利益というのは社会貢献の証であり、更なる利益が与えられるということは“さらに貢献せよ”という意味である」と。  今は、NPOブームですが、「お金をいただけないということは、社会から喜ばれていない」くらいに思ってもいいんじゃないでしょうか。NPOで存続できない団体の多くは、お金をいただくことを避けることに拠ることがあり、本末転倒なんですね。だから、私は、「きちんと起業して、きちんとお金をいただいて、きちんと継続して、きちんと社員も株主もお客様も含めて多くの人を幸せにしていく」という起業を、ぜひ今日をきっかけにみなさんにはじめていただければと思います。  まず、はじめることだと思います。はじめてみて動けば動くほど、あたらしい壁も答えもやってくる、仲間も集まってくる、そして何よりも大切なのは、パネリストのお2人のような笑顔を、いつももつことかもしれませんね。

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