近年の創業チャレンジ事例100
大企業ではできないきめ細かなサービスをワンストップで提供したい。
株式会社エージェントゲート(東京都)

創業者のプロフィール
WEB関連の豊富な経験をもとに、よりきめ細かいサービスを提供するために創業
創業者である緑川氏は、2000年以降、上場企業2社でインターネット広告事業の立ち上げやICT(情報通信技術)に関連するソリューションサービスなどに携わり、経験を積んできた。しかし、大きな会社であるが故に個人の裁量の範囲が限定されてしまい、顧客が望むようなサービスを提供することの難しさを感じていた。ちょうど2社目の会社で自分の目標であった「インターネット広告事業を立ち上げ、軌道に乗せること」を達成したのを期に、そろそろ「自分で事業を興して、きめ細やかなサービスをワンストップで提供したい」と考え、独立を決めた。
創業の経緯と事業概要
WEB関連事業とICTソリューション事業、マーチャント事業においてきめ細かいサービスをワンストップで提供
2007年、緑川氏は、株式会社エージェントゲートを創業した。創業当時は、緑川氏1人の事業であったこともあり、事務所は自宅に設置、WEB広告やWEBシステムの開発等WEB全般のサービスを手がけていた。2000年以降インターネット広告関連の事業に携わっていたこともあり、それまでにお付き合いのあった企業などから仕事を受注できたため、初年度から黒字を達成している。
2期目に入り、ITエンジニアのアウトソーシングなどを行うICTソリューション事業をはじめることになり、一気に人を20〜30人程度採用し、事務所を現在の本社である東京コンテンツインキュベーションセンター(以下、TCIC)の施設(東京都中野区)に移した。TCICは、東京都がコンテンツ産業に特化して開設した創業支援施設で、東京都中野区の最寄り駅から徒歩1分という立地でありながら、格安で事務所を借りられている。
そして、3期目に入り、フラッシュメモリー等の物販を行うマーチャント事業を開始し、現在は従業員45名にまで拡大している。なお、マーチャント事業を開始するにあたり、責任者は、物販に知識のある、以前からの知り合いになってもらった。その責任者が岡山在住であり、土地勘や知り合いも多く、事業推進にあたって事務所のロケーションがそれほど問題にならないことなど、今後の事業拡大やコストのことを念頭において、岡山営業所を開設した。
現在は、WEB広告やWEBシステムなどのWEB関連事業とICTソリューション事業、マーチャント事業の3事業を柱に据え、大企業にはできないようなきめ細かいサービスをワンストップで提供している。

株式会社エージェントゲートホームページ
http://www.agentgate.jp/

代表取締役社長 緑川大介氏
創業時の課題と対応策
経理や事務作業で苦労。キャッシュフローも入念に計画。
創業時はWEB広告関連の事業の立ち上げから実際の運営までを行い、軌道に乗せるなど、事業そのものの経験は積んでいたため、仕事の内容で苦労することはなかったが、大企業に所属していたため経理・総務などの事務作業に関する経験が全くなく、苦労を強いられた。しかし、2期目からはICTソリューション事業を手がけるにあたり、たくさんのひとを雇用したため、2期目以降は従業員に経理や総務、人事などを任せることで乗り切った。
また、創業間もない企業は、創業時に支払いから入金までの間、外注費や人件費などの資金を負担しなくてはならないことから、キャッシュフローで苦労するケースが多いが、緑川氏は「上場企業でWEB広告事業の立ち上げなどに従事しているときから、常にキャッシュフロー経営を意識した計画を立てることを求められていたので、そのときの経験を生かして、創業時から、キャッシュフローの計画は入念にチェックして事業を構築していった」という。

創業後の課題と対応策
会社のリスク管理とICTソリューション事業の拡大
創業2年目から一気に人員を拡大し、事業規模が拡大したことで、社員の管理や支払い条件の厳格化による契約の履行リスクの増大など会社の抱えるリスクが増大し、そのリスク管理に課題を感じるようになった。社員の常駐先企業での管理や事故への対応や契約期日を厳守した納品、貸し倒れリスクなど様々なことを日々意識して業務に当たっている。
また、事業そのものとしては、WEB関連事業とマーチャント事業は少ない人員で効率よく事業を展開できており、特にマーチャント事業は非常に順調に業績が伸びているので、現状のところ大きな心配はないが、「ICTソリューション事業の今後の事業拡大に課題がある」と緑川氏は考えている。同様のサービスを展開している企業はたくさんあるので、現在は、他社にはない独自の強みとなるサービスやソリューションを開発して、他社との差別化を図れるよう、従業員でアイデアを出し合うなど、試行錯誤を続けている。
今後の展望・力を入れたいこと
まずは人材育成のための仕組みづくりを。そして、派生事業へ事業を拡大。
エージェントゲートが手がける主要3事業のうち、WEB関連事業は役員中心の少人数で対応していること、マーチャント事業は事業の成長性が高く、人手を増やさなくとも成長が見込めることからそれほど問題ではないが、ICTソリューション事業を拡大するためには、陣容の拡大が必要になる。
しかし、ICTソリューション事業もサービス業であることから、質の高いサービスを提供するためには、採用した人材を育成して、人材の質を高めていく必要がある。今までは、過去に類似の業務経験のある人や知人を採用していたことから、個々人がもともと持っていたスキルやノウハウをベースに業務のなかでスキルを磨いていくことで、サービスの質を維持できていたが、今後はさらに人員を拡大して、事業を展開する予定である。そうした新たな人材を育成するためには、より体系だった人材育成のための研修や仕組み作りが必要になってくる。そこで、今後は人材育成に注力していきたいと考えている。
さらには、今後の事業展開としては、今の主要事業を軸としつつ、同種のサービスをモバイル向けに提供するなど、派生事業にも取り組んでいきたいと考えている。
創業希望者へのアドバイス・メッセージ
厳しい時代だが、是非チャレンジしてもらいたい
「最近の経済情勢は非常に厳しい状況にあるので、経験が豊富な分野での創業を目指すにしても、なかなか独立して企業するメリットが感じられない時代なのかもしれません。しかし、“サービスを提供する側”になる方が楽しいですし、サービスの質も高められるので、是非、時代に諦めずにチャレンジしてください。そして、私たちと一緒に助け合って、新しい時代を築いていきましょう」と緑川氏はエールを送っている。
一方で、「”ITバブル“と言われた頃に創業したIT関連企業のなかには、身の丈を超えて、短期間で無理な事業拡大を目指したために、残念ながらうまくいかなくなっているケースもあるようです。無理な背伸びをせず、まずはできるところからやっていくのがいいでしょう。焦らずにがんばってください」とアドバイスをしている。
事例からの示唆(創業の効果を導く要因)
自身のスキルを活かした無理のない事業展開と公的支援の有効活用
約7年のWEB関連事業の業務経験や人脈を生かして、まずは1人で創業し、常にキャッシュフローを意識して、無理な事業展開をしなかったことが、初年度からの黒字達成、3年間での急速な事業拡大をもたらしている。その背景には、「創業時から、キャッシュフローの計画は入念にチェックして事業を構築していった」という緑川氏のコメントから推察されるように、入念な事業計画や経営努力があった。緑川氏は「上場企業にいたときから、常にキャッシュフロー経営を意識した計画を立てることを求められていたので、当然のこと」と言うが、なかなか実際にはうまく行かないことも多いだろう。その点、緑川氏の経験・ノウハウの蓄積が経営に存分に活かされたといえる。
事業拡大時には人を採用し、自身の苦手とする経理や総務などの管理業務は任せるなど、それぞれの得意分野の人を採用していることも、個々の能力・長所を発揮して効率的に事業を行うのに寄与した。
また、区役所に相談し、公的な支援制度をうまく活用していることも、会社の成長に役立っている。現在の事務所は東京都の創業支援施設「東京コンテンツインキュベーションセンター」に構えているが、このインキュベート施設の存在は中野区役所に相談して存在を知ったということであり、“何かあったときの備えに”として借り入れた資金も中野区の「創業支援資金」という利子補給や支払いまでの据え置き期間がある創業間もない企業向けの支援制度を活用している。自治体によって制度は異なるが、最近は様々な自治体が創業者向けの支援策を有しており、中小企業基盤整備機構でも各地で相談窓口を設置し、様々な支援策をメニューとして用意している。創業間もない企業やこれから創業する方は、中小企業基盤整備機構や自治体の起業相談窓口へ赴いて、自分の抱えている課題を相談し、支援策をうまく活用することが、創業や事業拡大に非常に役立つといえる。
企業概要
株式会社エージェントゲート
| 企業概要 | 設立年 | 2007年 |
|---|---|---|
| 所在地 | 東京都中野区弥生町2丁目41-17 TCIC2階 | |
| 業種内容 | 情報通信業 | |
| 事業の段階 | 事業の成長段階 | |
| 事業の立ち上げの方法 | 完全に独立して立ち上げた | |
| 創業目的 | 設立時の年齢 | 27歳 |
| 前職 | 正社員(管理職) | |
| 創業目的 | その他(クライアントに対して細部までサービスするため) |




