第22回JVA中小企業庁長官賞
土岐 泰之氏
ユニファ
代表取締役CEO
- プロフィール
- 1980年生まれ。2003年、住友商事に入社。リテール・ネット領域におけるスタートアップへの投資及び事業開発支援に従事。その後、外資系戦略コンサルティングファームであるローランドベルガーやデロイトトーマツにて、経営戦略・組織戦略の策定及び実行支援に関与。2013年にユニファを創業。2017年、全世界から1万社以上が参加した「スタートアップ・ワールドカップ」にて初代チャンピオンとなる。第22回「Japan Venture Awards」にて、中小企業庁長官賞を受賞。
- Q1JVAを受賞した時の感想と応募したきっかけ
- 20年以上の歴史があるアワードで受賞できたのは、非常に光栄なことだと思っています。
我々が取り組んできた事業を評価していただけたのだと思うと、素直に嬉しいですね。保育業界に明るいニュースを届けるきっかけになれば幸いです。
応募したきっかけは「Japan Venture Awards(JAV)」をもともと知っていたからということに加え、社内のチームからも応募の話があったからです。事業概要にある「社会課題の解決に資する事業を行う、志の高いベンチャー企業の経営者を称える表彰制度」という説明と、私が目指している「社会性と経済性の両立」というインパクトスタートアップの概念との親和性の高さにも魅力を感じました。
また、昨年の受賞者の中には、株式会社CureAppの佐竹晃太氏がいらっしゃいますね。CureAppさんは非常に素晴らしい企業であり、ユニファが幹事社の一社を務める「インパクトスタートアップ協会(ISA)」の正会員企業でもあります。
ISAは持続可能な社会の実現を目的とした複数社からなるコミュニティであり、我々としては社会問題解決型のスタートアップが力を合わせて社会的なメッセージを発信することを主導しています。
ISAメンバーの一人でもある佐竹氏をはじめ、さまざまな業界で活躍されている企業の皆様が受賞されたことをお伺いし「我々もそれに続いていこう」と思い、応募しました。
また、こうした素晴らしい賞を受賞することで、社員やステークホルダーの方々にもユニファのメンバーであることに誇りを持って欲しいと思っていますし、より多くの方に会社のことを知っていただく機会になればと思ったのも理由の一つです。
- Q2起業に至ったきっかけと現在の事業
- かつて私は東京で働いていて、愛知で働く妻とは遠距離婚をしていました。子どもが生まれたばかりの頃は、週末だけ家族揃って過ごしていたものの、平日は仕事ばかりで自宅にはほぼ帰れていないような状態でしたね。そんな日々が続いた後、産休を終えた妻が職場復帰を望んだため、話し合いの末に私が退職して愛知県へ引っ越しました。それを機に人生の優先順位が明確になり、家族との時間を一番に考えるようになったのです。
ある程度子育てが落ち着いた頃に「家族の幸せ」に繋がる仕事をしたいと思い、紆余曲折を経て保育の事業アイディアに辿り着きました。家族の幸せを実現するために、保育施設は重要な存在です。私は姉が保育士だったこともあり、業務の大変さを聞いていましたし、保育関連業務の非効率を解消して保育に集中できる環境を作ることができれば、教育の質を向上することにも貢献できるだろうと考えたのです。
私たちが提供している「ルクミー」は、保育施設向けの総合ICTサービスで、保育現場の業務負担を軽減するだけでなく、保護者とのコミュニケーション支援、園・施設の運営支援もしています。現在の導入数は延べ15,000件を突破しました。全国約60の自治体にも導入されています。ユニファとして目指す姿を山頂に例えると、まだまだ1~2合目の段階ではありますが、着実に成長を重ねています。
- Q3今後の展望と読者へのメッセージ
- 「家族の幸せを生み出すあたらしい社会インフラを世界中で創り出す」というパーパスの実現に向けて、今後もサービスを拡大していく予定です。保育現場の業務を効率化することに留まらず、もっと深いところにまで入り込んで、保育業界そのものの価値を向上していきたいですね。
とはいえ、社会問題を根本から解決するには、私たちのような民間企業だけでは限界があるのも事実です。保護者はもちろん、地域や国を巻き込んで改革を進めていかなくてはいけない部分もあるでしょう。
JVAを通して、中小機構をはじめ、経済産業省、中小企業庁、受賞者の方々といった多くのご縁をいただきましたし、この機会を無駄にすることなく、事業成長を加速していきたいと考えています。
ユニファとしては保育業界をより良いものにしていきたいと考えていますし、コラボレーションできそうな企業や保育施設関係者の方々は、ぜひご連絡いただけますと幸いです。
また、私たちと同様に社会問題の解決に挑戦している方は、ぜひJVAへ応募してみてください。きっといい出会いがあるでしょうし、事業の活性化にも繋がると思います。