第22回JVA受賞者インタビュー

第22回JVA JVCA特別奨励賞

荒川 信行

セレイドセラピューティクス
株式会社 
代表取締役社長 CEO

ライフサイエンス研究の社会的応用で
血液がんの治療にブレイクスルーを。
米国での治験を目指す

ライフサイエンス研究の社会的応用で血液がんの治療にブレイクスルーを。米国での治験を目指す

プロフィール
慶應義塾大学大学院理工学研究科(工学修士)修了後、アクセンチュア株式会社で製造・小売業界におけるコンサルティングに従事。その後、中小企業の事業改革、大学発バイオベンチャーの立上げ、AI・IoT・ヘルスケア領域のテクノロジー企業の事業開発・DX推進など、大手企業からベンチャー・中小企業の運営・改革と幅広く経験を積み重ねる。2020年に4名の発明者と当社を共同創業し、代表取締役社長CEOに就任。第22回「Japan Venture Awards」にて、JVCA特別奨励賞を受賞。
Q1JVAを受賞した時の感想と応募したきっかけ
2020年創業から2年ほどでのタイミングであるのに、このような大変に名誉ある賞をいただき、信じられない気持ちです。私たちがこれからやっていこうとしていることに対して、皆さんの期待と応援を感じ、とてもうれしい受賞でした。
我々はこれまでさまざまなピッチイベントなどに参加して出会いを築いてきましたが、そんな中で出会った方に資金調達やパートナー探しで悩んでいることを相談した際に、「世間に周知してもらえ、PRする場としてよい機会になると思うので、チャレンジしてみてはどうですか?」と推薦をいただいたことがアワードに応募のきっかけです。
このような大きなイベントで一定のご評価をいただいたことは、これからの資金調達、アライアンスを含めて、プラスに働くのではないかと期待をしています。
Q2起業に至ったきっかけと現在の事業
もともと私は「何か起業をしたい」「何か事業をしたい」という思いを胸に秘めながら、コンサルタントとして事業の立ち上げや経営改革を進めていくような仕事をしていました。そして10年ほど前にライフサイエンスのフィールドに携わるきっかけがあり、専門家の先生と交流するようになりました。
私は大学時代は応用物理を学んでいまして、実はもともとライフサイエンスを専攻していたわけではないのですが、小さい頃に造血幹細胞などの血液の仕組みを紹介するテレビ番組を見て、興味はある分野でした。そんな中で、ヒト造血幹細胞の増幅技術が発明され、そしてこの技術の社会応用に向けて、どうやって事業を起こしていけばいいかという相談を受けることになります。いろいろな話をしていく中で、プロフェッショナルの先生方がようやく成し遂げた技術的な成果を社会に応用させることは社会的に意義のあることであり、私も貢献したいと強く思うようになりました。そして、「自分が社長としてやってみたい」と名乗りを上げさせていただき、会社を共同創業することとなりました。
現在、我々がフォーカスを当てているのは、血液がんに使われる造血幹細胞移植という治療法のアップデートです。現状はさまざまな課題が残されている領域ですが、造血幹細胞を体内で増やすという技術を使うことで、血液がんの治療にブレイクスルーを起こすことが可能だと考えています。実際に事業を進めていくと、やらなければいけないことが多いことに驚かされます。コア技術の確立に加えて、周辺技術の開発や薬事・法規制対応、パートナリングなど仕事は尽きません。
もちろん、事業を進める中では人もお金も必要です。また人材の面でも専門性が必要ですので、集めるのは簡単ではありません。想像以上に大変な仕事であることは間違いないのですが、とてもやりがいを感じていることも事実です。
Q3今後の展望と読者へのメッセージ
現在は国内で基盤技術の開発と非臨床POCの取得というプロセスを進めています。国内で有効性の確認と基盤技術が整えば、その後はアメリカでの技術移転と非臨床安全性試験、あとは治験というプロセスを目指しています。2020年代の後半にはアメリカで治験を実施することが今の目標です。まだ社会にでていないものを生み出していくことになりますので、時間はかかりますが、社会に貢献できるように頑張っていきたいと思います。
今回のアワードで、表彰式の際に審査員の方が「お金儲けの事業」というよりも「何のためにこの事業をするのか」のところを評価したとおっしゃられていました。「社会にとって意義があるのか」との視点でご評価いただいていると聞いた時には、自分たちの方向性はこれで間違っていないのだと、大きな力をもらいました。掲げている夢やビジョンを評価してもらえたことで、自分自身も、そしてチームメンバーも鼓舞されました。今回の応募は実りの大きいものであったと感じます。
今後、応募を検討される皆様も、このアワードは自分たちの方向性を、あらためて再確認できるようなきっかけになると思います。

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