第22回JVA受賞者インタビュー

第22回JVA中小機構理事長賞

浅川 純

株式会社
Pale Blue 
共同創業者 兼 代表取締役

大学の研究室から宇宙領域への挑戦。
本格的な市場展開と生産体制構築で新しいフェーズへ

大学の研究室から宇宙領域への挑戦。
本格的な市場展開と生産体制構築で新しいフェーズへ

プロフィール
2019年東京大学大学院博士(工学)修了後、同大学院 新領域創成科学研究科 特任助教として従事。2020年株式会社Pale Blueを創業。東京大学総長賞、MIT テクノロジーレビュー「Innovators Under 35 Japan 2020」、国際電気推進学会最優秀論文賞等を受賞。第22回「Japan Venture Awards」にて、中小機構理事長賞を受賞。
Q1JVAを受賞した時の感想と応募したきっかけ
今回、まさか賞をいただけるとは思っていなかったというのが率直な感想です。創業から2年半の会社ですが、評価をしていただいたのは、とても嬉しかったです。もともと文部科学省が進めている「START」というプログラムで、支援をいただいて創業しまして、その時にお世話になっていたJST(国立研究開発法人科学技術振興機構)の方から、今回のアワードの案内をいただき、応募しました。このアワードは「革新性」「成長性」がある企業が対象であると知りまして、我々の会社にはぴったりではないかと思いました。今回の受賞で、普段、お世話になっている取引先の方など、たくさんのお祝いのメッセージをいただくなど、多くの反響もいただいています。創業したばかりで認知度も低いですし、どのようなことをやっているのかも、なかなか理解をされにくい会社ですが、今回の受賞をきっかけに、「Pale Blueという会社がある」ということを知っていただきやすくなるのではないかと期待をしています。
Q2起業に至ったきっかけと現在の事業
私が宇宙領域に興味を持ち始めたのは中学生の頃です。将来、目指す進路を書いて提出するという機会がありまして、その時に、まじめに考えてみた結果、思いついたのが「宇宙」でした。おそらく、父親がUFOとかの話が好きで、そういうテーマのテレビ番組を一緒に見ていたからだと思います。そして大学受験をする際に、航空宇宙が学べる大学に行きたいと考えて、進学先を選びました。
大学院の博士課程では「水推進機」の研究を始めました。そして博士課程1年の時にスタートアップを体系立てて学べる講座を受講したことから、ビジネスコンテストにも応募するようになりました。そんな中で、あるビジネスコンテストで審査員を務めていたベンチャーキャピタルさんが、この「水推進機」の事業に興味を持っていただき、文部科学省の「START」を紹介してもらいました。そしてこのプログラムが終わった段階で起業をしました。
我々の事業は宇宙領域です。現在、多くの小型人工衛星を使って、グローバルなインフラサービスを提供する小型衛星コンステレーションビジネスが盛り上がっていますが、課題になっているのが、小型衛星の推進機を搭載していないことです。我々は安全・無毒で取り扱いやすい水を使った推進機を世の中に普及させることで、小型衛星のビジネスポテンシャルをさらに活かしていくことを目指しています。
Q3今後の展望と読者へのメッセージ
今は宇宙での実証実験が着実に進行していて、ある程度の目途は見えてきています。この次の段階としては、この宇宙実績をもとにして、本格的な市場展開と需要に耐えうるだけの推進機の生産体制を作っていくことがマイルストーンであると考えています。今後は会社としても新しいフェーズに入っていきますので、人手はまだまだ足りていない状況です。今いるメンバーも宇宙領域の経験者は圧倒的に少なく、他業種から来てもらっている方がほとんどですが、そういった方々でも活躍していただいている環境があるので、ぜひ少しでも宇宙ビジネスや推進機事業に興味を持っていただける方とは一緒に仕事がしたいですし、協力して世界を切り開いていきたいと思っています。
宇宙ビジネスのようなニッチな領域の我々の会社が「Japan Venture Awards(JVA)」で賞をいただけたことで、社会全般での認知度を上げることができました。普段、なかなか理解をしてもらいにくい領域の企業さんこそ、JVAに応募していただけると非常に良いフィードバックに繋がるのではと思っています。

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