第22回JVA受賞者インタビュー

第22回JVA JVCA特別奨励賞

梶川 益紀

リバーセル
株式会社 
代表取締役社長

2024年に京都大学病院で
臨床実験がスタート
汎用性の高い細胞療法で
ガン患者へ光明を

2024年に京都大学病院で
臨床実験がスタート
汎用性の高い細胞療法で
ガン患者へ光明を

プロフィール
1996年横浜国立大学工学部卒業。2017年名古屋大学医学部環境医学研究所修了。大学卒業後、試薬・診断薬メーカーへ入社。営業、医薬開発、研究開発に従事。2021年リバーセル株式会社 代表取締役社長に就任。20年以上、ライフサイエンス一筋に、研究、経営、事業開発、グローバル戦略などに携わる。第22回「Japan Venture Awards」にて、JVCA特別奨励賞を受賞。
Q1JVAを受賞した時の感想と応募したきっかけ
私はアメリカに出張していて授賞式には出席できなかったのですが、本当にありがたいご縁で、びっくりしました。受賞したことで、同じ施設に入居する会社の方から「受賞されていましたよね。おめでとうございます」と祝福の言葉もいただきました。2019年に設立した会社ですが、これからはどんどん露出を増やしてアピールをしていかなければいけないと考えていました。そんな中で、積極的に挑戦しようと見つけたのが「Japan Venture Awards(JVA)」でした。創業者の京都大学医生物学研究所所長 河本宏教授は、学術の世界やサイエンティフィックな分野では大変著名な先生で、発言力もあり、アピール力もあります。しかし、事業をやっていく上で、もっと広く技術と会社を知ってもらう必要性を私は感じていました。特に製薬企業、投資家の方へ向けたアピールが必要でした。それが今回応募させていただいたきっかけです。今回、このような賞をいただけたということは、事業の方向性などを認めていただけたということであると捉えており、社のメンバーにとっても自信になるとともに、大きなアピールになると考えています。
Q2起業に至ったきっかけと現在の事業
現在もガン患者さんのなかには手術やこれまでの化学療法では治すことができない方が一定数います。その割合は約40パーセントで、そういった患者さんのための新しい治療法が必要です。我々は患者自身の細胞を使うのではなく、より汎用性の高い細胞療法の開発、研究に取り組み、事業化していくことを目指しています。リバーセル株式会社は、免疫細胞療法を提唱して開発してきた河本宏教授の「新しい治療法を届けたい」との思いを実現するために、2019年に誕生しました。私は一緒に仕事をしていた東京大学の先生から、河本教授がビジネスの分かる人材を探していると紹介され、実際に会うことになりました。これまでも私はバイオテクノロジー、ライフサイエンスという領域のビジネスに関わってきましたが、直近では“治療”ではなく、“診断”を目指した分野で仕事をしていました。自分の中では、やはり治療に関わっていきたいという思いがあり、ちょうどそういった道を探していましたので、ジョインすることを決めました。
Q3今後の展望と読者へのメッセージ
我々が目指している細胞療法は、世界でまだ実施されていない方法ですので、まずは2024年に最初の臨床試験を京都大学医学部附属病院で実施することを計画しています。また、我々の技術は、ガンだけではなくウイルス感染症に対しても適応することができるので、ウイルス感染症についても2025年に臨床試験を行う計画があります。ガンを攻撃するときとウイルスを攻撃するときの細胞製剤は少し違うのですが、ベースとなるプラットフォームの基盤技術は同じで、今後は他にもさまざまな応用が可能だと考えています。
スタートアップ企業というのは、まずは多くの方に知ってもらわなければ何も始まらないというのが、私の根本的な考えです。どんなに良い技術であっても、黙っていては何も始まらず、人も集まらないと思いますので、どんどんアピールをしていくべきです。その意味で、JVAのような歴史のあるアワードにチャレンジすることは非常に大きなメリットでした。ノミネートされ受賞することができると、他の受賞者とのネットワークを築くことができるので、その繋がりも今後のビジネスの中で役に立つと思います。

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