過去受賞者のインタビュー

第21回JVA
中小機構理事長賞

中野 剛人

「社会に貢献したい」と起業。
需要が広がる訪問看護の
課題解決を目指し、異色の転身。

中野 剛人

株式会社eWeLL 
代表取締役社長

プロフィール
1973年、大阪府生まれ。ジェットスキープロライダー(元世界ランク2位)、介護ボランティアを経て現職。練習中の事故で9日間意識不明となった際に看護師に命を救われた経験から、訪問看護師の業務支援事業立ち上げを志す。2012年6月に株式会社eWeLLを設立し、2021年に第21回「Japan Venture Awards」で中小機構理事長賞を受賞。在宅療養にイノベーションを起こし続けている。
Q1起業に至ったきっかけを
教えてください
起業する前はジェットスキーのプロ選手をしており、練習中の事故で肝臓が破裂し意識不明の重体になったことがあります。しかし、看護師さんの見事な対処のおかげで、一命を取り留めることができました。引退後、「社会貢献をしたい、看護師さんたちに恩返しをしたい」という強い思いから、自分に何ができるのか調べたところ、訪問看護に大きな課題があることを知りました。
訪問看護は、少子高齢化に伴い社会的な必要性が急速に高まっているにもかかわらず、看護師が大幅に不足。現場業務は紙の書類に手書きする非効率な運用が行われていました。この社会課題にいち早く着目し、当時皆無だった訪問看護の業務を効率化するシステムを開発するために、株式会社eWeLLを立ち上げたのです。
自社開発した訪問看護専用の電子カルテ「iBow」は、医療保険と介護保険を扱う複雑な訪問看護業務を網羅しつつ、誰でも簡単に使えるようUI・UXを追求したシステムです。また、料金をサブスクリプションにすることで、お客様に高品質なサービスを提供し続けられるビジネスモデルを実現しました。
全国に約14,300ある訪問看護事業所の中で、現在までに累計2,200の施設に導入いただいており、ユーザーの紹介等で毎月利用者が増加しています。計画通りに事業を拡大していますし、今後はさらなる社会課題解決に取り組んでいきたいと考えています。
Q2JVAに応募したきっかけを
教えてください
2年連続で応募していて、日本政策金融公庫様からご推薦いただいたのがきっかけです。我々は自信を持って応募したのですが、1年目は予備審査で落選してしまいました。そんな経緯があった上で、なぜ2年目に再度応募しようと思ったのかというと、日本政策金融公庫様から再度ご推薦のご連絡をいただいたからです。
前年のこともありましたし、大きなプレッシャーを感じていました。しかし、1年間でさらに事業を成長させてきた自信があり、挑戦したい気持ちがあったのも事実。2年目はリベンジをするために応募することにしたのです。結果として受賞が決まった時は、非常に嬉しかったですね。
1年目に書類の段階で落ちてしまった時は悔しさしかありませんでしたが、私たちはその思いを原動力にして事業を進めてきました。受賞することで「努力が認められたんだ」と思いましたし、社員のモチベーション向上にも繋がったと実感しています。
また第三者からのご評価をいただくことで、自分達のプロダクトを客観的に見られるようになりました。社内関係者だけで満足していたら、ビジネスが成長することはない。事業を継続していくためにも、こういったアワードに応募することには、大きな意味があるのだと思います。
Q3JVA受賞後、
ビジネスに変化は
ありましたか?
さまざまなメリットがありました。大きく変わったのは金融機関からのお問合せが増えたことですね。弊社は年間黒字化を達成していますので、融資をお願いすることはありませんでしたが、そういった問い合わせが増えたのは印象的でした。
また、先述の通り、社員のモチベーションが向上したのは非常に大きなメリットです。同じ受賞者の方々と情報交換ができたのも有益でしたね。事業を成長させるには、どれほど多くの情報を持っているかどうかが重要。異業種の方とお話しすることで、他の業界に関する新たな知見を得ることができました。
我々のプロダクトを世に広めることもできましたし、訪問看護・在宅療養の認知度向上にも貢献できたのではないかと考えています。
もし今起業を考えていて、これから何をしようか考えている方がいらっしゃるとすれば、「Japan Venture Awards」の表彰式に参加してみるのがおすすめです。世の中にあるプロダクトやビジネスモデルに関する知見を蓄えることで、“発明のヒント”になるでしょうしね。
より良い社会を目指すため、素晴らしいプロダクトを世に広めるためにも、多くの企業が「Japan Venture Awards」に挑戦されることを期待しています。

インタビュー動画

過去のJVA受賞者に「起業のきっかけ」「JVA応募のきっかけ」「JVA受賞後のビジネス変化」についてのインタビューをしました。

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第21回JVA受賞者のインタビュー